「愛犬の介護は飼い主の義務」はたして本当でしょうか?当たり前じゃないかとお怒りになられる方もいらっしゃるかもしれません。では、なぜ人の世界には介護施設が存在しているのでしょうか。親の介護は子の義務なのに。

簡単です。子だけの力で介護できないからです。介護はひとりでしてはいけません。たとえ介護をするのが犬であってもそんな甘いものではないのです。一口に介護といっても痴呆がひどかったり、内臓の病気だったり、関節が弱く寝たきりだったり介護の中にも色々なケースが存在します。そもそもひとりで全てを背負えるはずがないのです。

なのに「愛犬の介護は飼い主の義務」という思い込みが、飼い主さんを追い詰め疲弊させてしまうのです。あなたもそのひとりかもしれません。そこで今回は老犬の介護に疲れる原因とその疲れた時の対処法についてまとめました。

なぜ、老犬介護に疲れるのか

老犬介護に疲れた

老犬の介護は想像以上に大変なものです。これはおそらく経験した人にしかわからないと思います。老犬介護で疲れる原因は大きく4つに分かれます。

完璧に介護しようとしている

責任感の強い飼い主が陥りやすい介護の落とし穴です。下の世話や夜泣きのあやし散歩や食事、衛生管理と老犬の介護はやりだしたら終わりがありません。そのすべてを飼い主の義務だという責任感から日々全力投球で気が付けば飼い主自身の体に支障をきたすなんてことも。

金銭的な不安がある

老犬になってくると想像もしていなかった出費がかさむものです。お金がないと快適な環境を整えてあげることができない、病気だとわかっていても病院に連れていってあげることができないなんてことも起こってしまいます。これが飼い主として辛くストレスとなる事はよくあることです。

いつまで続くのか先が見えないことによる不安

犬が寝たきりになったからといってすぐに天国に行ってしまうわけではありません。介護生活が続くと飼い主さんの疲労も溜まり心身ともに疲弊してしきます。

夜鳴き(夜泣き)や異臭による近隣とのトラブル

老犬介護でもっとも大変なのがこれ。飼い主さんの生活リズムを著しく崩されるため体調不良やノイローゼなどの精神疾患に発展してしまうことも。

疲れないために老犬介護の心得

疲れないために老犬介護の心得

愛犬の体が衰えて要介護状態になったり認知症にかかったりすると想像以上の大変さに心身ともに疲弊してしまう飼い主さんも少なくありません。特に愛犬が認知症になって問題行動を見せたり飼い主さんを認識できなくなったりすると大きなショックを受ける方も多いようです。でも、犬が悪いわけではありません。生物はみんな老化現象にはあらがえないのです。なので愛犬も飼い主さんも快適で楽しい介護生活を送るには飼い主さんの心構えがもっとも重要です。無理なく続けられる介護を目指しましょう。

 

手を抜く時は抜いて一人で頑張りすぎない

責任感の強い飼い主さんはつい一人で頑張りすぎてしまう傾向にあります。 しかしこれは本当に良くありません。飼い主さんが心身ともに疲弊し体調を崩してしまうと 愛犬にはもう頼る人がいません。何でも完璧にやろうとせず手を抜くところは手を抜いて どうしてもしんどい時は家族や友人、ペットシッターなどに手伝ってもらい継続できる介護を目指しましょう 。

 

辛いとき困ったとき悩んだときは相談できる人を見つける

身近に信頼のおける獣医やペットシッターがいると心強いものです。犬を飼っている友人と話したりインターネットのコミュニティーサイトなどを利用するのもいいでしょう。愛犬の状態を伝えるには動画が一番です。口頭だけでは伝わらない辛さを伝えることができます。症状が出たら携帯の動画で撮影し獣医さんや頼れる人に見せてください。もちろん我々も相談に乗ります。いつでもお気軽にお問い合わせください。

 

愛犬の状態に合った介護方法を見つける

世の中には「不衛生だからオムツは絶対ダメ」なんて意見もあるそうです。こんな無責任なことをよく言えるなというのが正直なところ。真夜中、オムツをせずに鳴き声にたたき起こされて垂れ流された糞尿を掃除する飼い主の精神衛生上のことはどうでもいいのでしょうか。

老犬の介護と言っても病気やケガの症状など、老化現象は犬によって違いますし、100匹いれば100通りの介護方法があります。どれが愛犬にとって正しい介護方法なのかということは一概には言えません。介護をするにあたって獣医師に相談し疑問や悩み事がすべて解決する、あるいは頼りになるペットシッターが身近にいるようならそれが理想です。でもそれは普通の飼い主さんだとなかなか難しいでしょう。

最近では老犬の介護が社会問題化している背景もあり色々な老犬介護グッズが販売されています。オムツがダメみたいな変な先入観を持たず、使えるものは何でも使いましょう。少しでも飼い主さんが快適に介護を行えるようにすることは愛犬にとっても快適な生活をすることとなります。

 

愛犬ができることは愛犬にさせる

歩いたり食事をしたり排泄をする時にサポートするのが介護ですが、最初から最後まで全て手伝う必要はありません。犬がしたいことをあくまでサポートしているということを忘れないで下さい。辛そうだからと一度甘やかしてしまうと、それが癖になってさらなる衰えにつながっていきます。 どうしてもできないことだけを飼い主さんが見極めサポートしてあげるのが犬のためになります。

老犬の安楽死について

老犬の安楽死について

犬は「死にたい」と思うことはありません。そんな概念を持ち合わせていないのです。厳しい言い方にはなりますが「もう楽にさせてあげたい」というのは飼い主さんが「もう楽になりたい」という本音に対する言い訳でしかありません 。犬はどれだけ痛かろうが苦しかろうが最期の最期まで生きながらえようと努力を続けます。それが動物の本能であり、そのことを十分理解している獣医さんのほとんどは安楽死を良しとしません。

老犬の安楽死が選択肢として提示されるケース

  • 認知症の症状が重篤な場合
  • 寝たきりによる床ずれや糞尿汚染などが原因でひどい苦痛を伴っている場合
  • 臓器が不全状態になり治療に耐えることができない場合
  • 治療の効果が見られず、激しい苦痛を伴っている場合
  • 延命治療が苦痛を長引かせているだけと認められる場合
  • 飼い主が十分なケアをすることができないと認められる場合

※上記はあくまで一例であり、当然、獣医さんによって考え方も違います。

 

愛犬の安楽死=飼い主の決断

愛犬の命はその全てが飼い主であるあなたに委ねられています。高度医療を受けさせて苦痛を和らげ延命させるのか、治療打ち切り自宅へ連れ帰って家族で看取るのか、いますぐ安楽死させるのか決断するのは全て飼い主であるあなたです。

安楽死というのは終末期医療のひとつの手段でしかなく、安楽死を選択し決断するのは犬でもなければ獣医さんでもなくペットシッターさんでもありません 。飼い主であるあなたです。まずはこのことを十分に理解する必要があります 。

今は本当に老犬介護が辛いかもしれません。でも、安楽死を選択し、時間が経った時に 「愛犬の命に終止符を打ったのは自分だ」「もっと生きたかったのではないだろうか」「他に選択肢はなかったのか」と後悔しても安楽死を選んだのは自分だという事実からは一生逃れることはできません。なので一時の感情に流されてはいけません。

飼い主さんの中にはこの罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまう人も少なくないことを知っておいてください。

 

愛犬の安楽死の決断ができない理由

納得するまで獣医さんの説明を受けて最善の治療方針を一緒に考えることが重要です。安楽死の決断が出来ない理由は、飼い主さんのどこか心の奥底に納得できない部分が残っている証拠です 。

飼い主さんが介護ノイローゼの状態では安楽死させることばかり考えてしまうかもしれませんが、本当に現状を克服する方法がないのか、もう一度冷静になって獣医さんと相談してください 。

ほとんどの獣医さんは安楽死を勧めることはありません。 犬のことを想い、できるだけ長生きさせてあげようと努力している方々がほとんどです。 そういった信頼のおける獣医さんのアドバイスによく耳を傾けてください 。

 

保健所に連れ込むのは殺処分。安楽死ではない。

残念なことに介護ノイローゼ状態の飼い主さんの中には動物病院で安楽死を引き受けてくれない場合、保健所に連れ込む方もいるようです。

保健所に連れ込むと安楽死をさせてもらえると勘違いしている方もいらっしゃるようですが、保健所で殺処分の対象となる犬の死に方は窒息死です。決して楽な死に方ではありません。

十数年連れ添ったであろう愛犬をそんなとこに置き去りにする時点で通常の精神状態では考えられないことですが、そんな精神状態になるまで追い込まれてしまうのが老犬介護の怖い一面でもあります。

犬の安楽死にかかる費用

犬の安楽死にかかる費用は、犬の大きさや動物病院によっても違いますが、だいたい1万円前後が一般的です。 特殊な薬剤を注射することで心臓や脳の機能を一瞬で停止させます 。苦痛は伴わないものとされています。

 

まとめ

老犬介護

「なんで私がこんな目に・・・」と心身ともに疲弊して、つい愛犬に対して冷たい態度をとってしまう。そんなことで悩まれている飼い主さんは数えきれないほど存在します。

愛犬と残り少ない時間を楽しく過ごすために重要なことはとにかくひとりで抱え込まないことです。愛犬はあなたの表情や口調から気持ちを敏感に感じ取ることができます。ふさぎ込んだあなたを見るのはつらいもの。愛犬から喜びを奪ったまま旅立たせてしまってはかわいそうだと思いませんか?

最期の最期まで笑顔であなたの甘い声を聞けることが愛犬にとって最大の幸せに繋がります。そのために使えるものは何でも使うべきです。あれはダメこれはダメと変な制約を課すのではなく柔軟に最期まで犬も人間もともに快適な介護生活を送れるよう心より祈っております。

ペットの騒音でお困りではありませんか?

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